続き(H25/1/6)

これまでの作業

 

遂に年を越してしまった。しかも体調を崩し、連休最終日になってようやく作業ができるようになった。

 

バルブ研磨し直し

数あるブランドの中で最もカーボンが落ちるとの評判のヤマルーブキャブクリーナーを使い、更に真鍮ブラシで綺麗にしたものの、こびりついている部分があったのが気になって。年を越し、改めて研磨しなおすことに。バルブステムの先っぽ(擦動部はダメ)をボール盤にくわえさせ、ペーパーで固形物をそぎ落とす。すると褐色のおが屑のようなカーボンの粉が舞い散る・・・。

 

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傘の下側にもこびりついたカーボンが。

 

after
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傘の下側も綺麗さっぱり。こうなるとやはり嬉しい。

 

パッキン剥がしが思いのほか大変。パッキンリムーバーを幾度となく吹付け、少しづつそぎ落としていった。このパッキン、アスベスト含んでへんやろうな~。ちょっと不安。このこびりつき方、相当年季が入っていることは間違いない。

バルブ摺合せ

これらは、平成7年の夏休みにZ1のシリンダーヘッドをOHした際に購入したもの。実に17年半ぶり!に蓋をあける。中身がおそるべき物質に変わっているのも目の当たりにするか、と思いきや、新鮮そのもので全く新品同様だ。しかしこんなに沢山、私が生きている間に使い切れるような量ではない。

 

このタコ棒も17年半ぶりに使う。物持ちがいいわ。バルブフェイスにコンパウンドをオイルで溶いたものを塗りつけ、叩きつけては回し、叩きつけては反対に回しを繰り返す。最初はジョリジョリとコンパウンドが擦り合う音がするが、そのうち金属同士が擦り合う、シャリシャリ音に変化していくのでその時点で摺合せ状況を確認する。

 

これはIN側。もともとIN側は当たり面がほぼ出ていたが、摺合せするとさらに綺麗に。でも、ちょっと当たり面が広いかな?

光明丹で当たり幅を確認。左1.8mm、右1.7mm。

標準値は1~1.5mm。使用限度は2.5mmなので、あまりよろしくない数値ではあるもののそのまま行くことに。今度ばらすときには、120度シートカッターで当たり面を狭くしようかなと。

 

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これはEX側。カーボンは落としているものの、当たりが出ていないのが一目瞭然。こいつを擦り擦りする。

 

after
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IN側よりあたり幅が小さい。3回ほどコンパウンドを付け直して摺合せたところ、このようにほぼ満足のいく当たり面が完成した。

 

光明丹で当たり幅を確認。左1.3mm、右と1.2mm。 こちらは標準値内で良好だ。

 

当たり面に付着した光明丹。綺麗に輪ができており、当たり幅のばらつきもない。

 

バルブスプリング寸法測定

 (mm) IN左 IN右  EX右 EX左  標準値 使用限度 
IN  38  38  38.35  ー 37.9 36.7
OUT  43.4  43  43  ー 43.5 42.0

EX左側は測定忘れ(笑)。全て標準値前後なので問題なし。

 

バルブ組み上げ

Z1と共通部品のバルブステムオイルシール。外側にスプリングが付いているのがその証。W用の部品には付いていない。

 

組み立て時には、モリブデングリースをたっぷりと。このグリースも17年半前に購入したもの。特に変質しているようには見えないが、大丈夫だろう。

 

17年半前に大阪日本橋工具街で3000円位で購入したバルブスプリングコンプレッサーを活用。

 

コッタ―も入れ易い。

 

4本のバルブを組み上げ、最後にハンマーで衝撃を加えてコッタ―の位置を落ち着かせる。

 

シリンダー内壁の状態

右シリンダー。クロスハッチが見える。惚れ惚れする壁面だ。

 

左シリンダー。こっちも同様。このシリンダー、本当に生まれから一度も手を加えられていないのだろうか。本当に不思議。

 

ヘッドの状態

before
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カーボン溜まりまくりの掃除前。

 

after
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綺麗さっぱりの掃除後。バルブも綺麗になり美しい。金サシで簡易にヘッド面の歪を確認したところ、中央オイル流路付近に若干の凹が確認できたのでオイルストーンで軽く面出しをしておいた。

 

 

before
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オイル汚れがこびりついていて汚~い内部。

 

after
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良いオイルを使い続けていると、このように綺麗なままで維持できるはず。

 

エンジン本体と合体

トルクレンチで4.5kgf・mで締め付ける。ボルトの頭が錆びているので、次回はユニクロ再メッキでもしておこう。

 

ロッカーケースのオイルパイプ取付け部からのオイル漏れが多かったので、Oリングを交換。ロッカーシャフトの反対側をプラスティックハンマーでちょこんと叩くと、Oリング部がちょろっと頭を出す。

 

ピックツールでつついていると、ポッキリ折れたOリング。既にカチカチ状態だ。これではシール効果は期待できないはず。新品に交換。

 

おなじみ、スペシャルツール、”串”。これにてプッシュロッドの位置決めを行い、ロッカーケースを載せる。

 

さくさくと組み上げていきたいところだが、ロッカーケース固定ボルトの錆が目を覆うばかり。こういうのそのままに組み入れるのは忍びない。ネジ部は大丈夫そうなので再利用は可能だが、錆を落としてオイルを塗布しておく。これもユニクロ再メッキしておけば良かった。しかし、聞くところによると、ユニクロ再メッキを迅速・格安で行ってくれていたメッキのヤマダ、が廃業したとのこと。これは残念でならない。別の会社を探さねば。

 

 

ロッカーケースを載せるのは、何せ初めての経験。串を使えば簡単にできるものと思っていたが、そうは問屋が卸さず。あっちからみたりこっちからのぞいたり、光を当てたり、口でLEDライトをくわえて照らしてみたり・・・とすったもんだの挙句、すこっと収まった。感動。載せるときに、ロッカーアームを輪ゴムで引っ張り合せ、プッシュロッドが収まった後に鋏でぷっつり切って取り除く。Wの作業では常套手段。

 

 

 

ということで、昼過ぎから作業を開始し、18時頃に終了。思いのほか時間を食ってしまった。初めてのW1Eの修理。シリンダーヘッドのみなのでまだまだ序の口だろう。これでこんだけ時間がかかってしまうのだから、エンジン全バラはちょっと大変かも。

 

できれば今日中にエンジンを掛けたかったのだが、家事が私をそうはさせなかった。キャブの取付けなどは、来週以降に持ち越しだ。さて、今回の修理。うまく行ったのかな~?

 

今回、SM3を見ながら作業をしたのだが、すべての作業を終えてから改めてW1完全分解整備手帳を確認したら(作業をする前に見とけよ、と思うが)、締め付けトルクは4kg・mで、ヘッド締め付けボルトのうち中央部の1本は緩みやすく、緩んだらオイル吸い込みの原因になるから緩み止め塗布が必要、と記載が・・・。後の祭りだわ。まあ、とにかく今の状態で様子を見よか(笑)。

 

 

 

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コメント: 6
  • #1

    KAZ3号 (月曜日, 07 1月 2013 19:52)

    本年も宜しくお願い致します~
    今年は会えますでしょうか?笑
    昨年会えなかった犯人は私のせいでしたが・・
    苦笑でした、元気いっぱいで今年は会える事を楽しみに
    しております
    ヘッドのオーバーホールはよいですね!
    ヘッドの締め付けトルクは3.5Kgf/cm2で私はやめましたが今だに組んでから6年目ですが、オイル漏れはありません!クランクケースのベアリングも交換しました
    クランクは凄いスラッジでびっくりしましたが
    良くこれでオイルが行くなぁ・・・関心しましたね
    合わせ面はしっかり、オイルストーンで面研をし
    楽しんだ6年前を思いだします 笑

  • #2

    姫路の松居 (月曜日, 07 1月 2013 21:32)

    本年もよろしくお願いいたします~
    さすがですね、私もやってみたいんですが道具揃えても、次いつ使うか?
    など考えると躊躇しています、そろそろ限界なんですけどね

    いっそのことヘッド送りましょうか?なんてね

  • #3

    まつ (月曜日, 07 1月 2013 22:15)

    KAZ3号さん

    今年もよろしくお願いします、と言いますか、今年は箱根でお会いしましょう!

    ヘッドからのオイル漏れなし、羨ましい~。私のはどうかな~。ちと心配。クランクまでやらはったんですね。凄いですね~。私もいつかは、と思いつつ、ま、ヘンにいじるよりはそのままで・・・。オイルストーンで面研、おっと、写真では載せてませんが、一応気休め程度には。でも”しっかり”かどうかは不明(^^) エンジン始動後を楽しみに(^^)


  • #4

    まつ (月曜日, 07 1月 2013 22:18)

    姫路の松居さん

    まいど。今年もどうぞよろしくお願いします~。姫路の松居師匠なら朝飯前ですわ。こんなの多分。こちらは素人に毛が生えた程度(^^)

    むしろ道具とともに私のヘッドを師匠に送りたいくらい(^^) 
    師匠の鈴木のおもちゃ弄り、楽しみにしております!

  • #5

    てつ (水曜日, 16 1月 2013 00:16)

    あけおめです!

    おつかれさんでしたー(^_^)
    ロッカーケース乗せは何度やってもすんなりできませんねー
    次やるときも時間空くからコツ忘れてるし(笑)

    光明丹とコンパウンドはフィルムケースみたいなのに小分けしてジャンケン大会の景品にしましょう! きっと誰かが欲しがりますよ!

  • #6

    まつ (金曜日, 18 1月 2013 07:44)

    てつさん
    今年も箱根でよろしくお願いします(^^)
    ロッカーケースのせ、早くコツつかみたいですわ。ほんま情けない格好で作業してました(^^)

    箱根の景品、確かに‼

完成!

20130112

やっとこさ完成。

ロッカーケースがちゃんと載っているようで、実はプッシュロッドが吸気側の2本ともロッカーアームのお皿にはまっていないことが判明。再度、ロッカーケースを浮かせ、Oリングピックツールでプッシュロッドの位置を修正してからケースを載せると、今度は意外にすんなり4本ともお皿にしっかりはまった。スペシャルツールの串は使わなくとも問題ない。むしろこちらの方が簡単かも。

 

そしてタペットクリアランスを調整。全て0.07mmにて。

そして、各部を取り付けてから、キックしてエンジンオイルを各部に行きわたらせる。ちょうど80回くらいキックした時にリターン側からオイルが帰ってきた。そしてメインキーをON。キックをすると。。。おっと3回くらいで爆発あり。数回で元気に目覚めた。

 

しかも明らかに音が良くなっている。ブリブリっとはじけるような音が際立っている。素晴らしい!完成だ!

 

ちょっと時間はかかったけど、初めてのエンジン修理は成功した。マフラーからの白煙は全くない。排気ガスも特に変な臭いは無く、しっかりと燃焼している感じだ。

ただ、タペットカバーのガスケットを再利用したため、試運転後は少しオイルにじみが。また後日、新品のパッキンに取り換えよう。暖かくなってからのツーリングがまた楽しみになった。

 

 

 

ついでの補修

見事なまでに磨滅してしまった、チョークケーブルのアダプター。タンクパッドがヘタってしまったのだろう、タンクの位置が下がってしまい、ちょうどタンクの端部がキャブのチョークケーブルアダプターと干渉してしまった。以前からここは少し擦れていたため若干の対策を施していたのだが、以前にショップにETCを取り付けてもらったときに、うまく位置決めができていなかったのだろう。それに気づかずツーリングに行った結果がこれだ。見るも無残なので交換することに。

 

ごそごそと部品箱をまざくる。確か、ここにチョークケーブルの買い置きが。よしあった。アダプターも付いている。これをちょいと拝借することに。

 

保護カバー。

上・・・リプロ品(クレージーズ謹製)

中・・・今回W3からの取り外し品

下・・・部品取りから外したもの

 

違いが分かる?実は、下の部品には浮き文字でMIKUNIって表記されている。上と中は文字は全くなし。丁度反対側はすべて何も文字はなし。

 

ということは私のW3についていたこのカバーはリプロ品だったということ?てっきりオリジナルだと思っていたけど。右シリンダーのカバーを見てみるとやはり文字はなし。ということで、貴重な浮き文字品はパーツケースに保存することにした。

 

綺麗さっぱりのチョークケーブル。気分がすっきりした。

 

1泊2日の大山ツーリングで緩んでしまったのだろう。ふと、右ウィンカーの取付けボルトが緩みきっているのを発見。やっぱり時々各部の増し締めをしないと部品を落としてしまうわ、噂通り。

 

ご存じ、提灯お化け。

秋には一箇所の裂けがあるのを、古き二輪を愛でる会で姫路の松居さんに発見頂いたが、あらもう一つ発生。もともと一箇所裂けていて補修していたブーツだから、もう寿命だろう。早めに交換しておこう。一箇所裂けたら別のところが裂けてくるという姫路の松居さんの予言通りだ!