前ブレーキが引きずってしまいました!

 

2009/5/24

先々週、付近を3時間ほど走行した際、ブレーキの引きずり発生。最初はブレーキを少しかけたらキーと鳴き、強くブレーキをかけたら直ることの繰り返しであったが、そのうち、マスターシリンダーのタッチが固くなると共に明らかに前ブレーキが引きずっている現象が現れた。だましだまし自宅まで戻ってきたときには、キャリパとディスクはあっちっちだった。

 

帰宅後、塗装を落としたキャリパサンドブラスト、ディスクローター黒塗装部サンドブラストをやって、その日は終わり。

 

2009/6/6

前ブレーキの引きずり現象の原因を調査する。キャリパーを分解する。ピストン付近からブレーキフルードが滲みだしているではないか。これではシールが役目を果たしていないことになる。ピストンが摩耗してクリアランスが小さくなっているのか?シールの内面には傷は見受けられない。ピストンの表面に微小のメッキはがれがあり、ペーパで研磨して再利用したのであるが、それがダメだったのか?もしかしたらシールに噛みこむような状態となってピストンの戻りが渋くなっていたのではないかという気がする。こうなると、ピストンは新調したほうが良さそうだ。とすると、ダブルディスクにしようと手に入れたもう一つのキャリパも同様。
再度分解したキャリパの塗装はまだ完全に硬化していないようで、フルードがついたところをウェスでふき取ると簡単に塗装がはがれてしまった。そこで、キャリパを再塗装。ダブルディスク用のキャリパともども、耐熱塗料の指定どおり、150度で一時間ほど焼きつけしないといけないので後日、ホットプレートでやってみることにする。
ダブルディスク用の2枚のディスクはサンドブラストも終わったので、マスキングをして普通の黒塗装。耐熱仕様にはしなかった。後で悔やまれることになるかもしれないが、まあ大丈夫だろうと何の根拠もないけど。

元々ついていたキャリパのピストン
元々ついていたキャリパのピストン

キャリパピストンのメッキは少しだけはがれていたが、1000#のペーパで軽く面を出してやり再用していた。しかし、このはがれ部分が何か悪さしたのだろうか?ピストンオイルシールは新品にしたが、このはがれ部分がオイルシールに食い込んだりしてしまったためにピストンが戻りにくくなってしまったのだろうか?よくわからないが、とりあえずピストンをステンレス製のリプロ品に交換することにし、ヤフオクで2650円にて安売りしていたので2個落札。

2009/06/21

 キャリパーにはステンレスのピストンを挿入し、エアを入れて動作確認をし、バイクに取り付けた。そしてブレーキを握り、緩めると・・・・やっぱり引きずっている。う~ん。マスターシリンダーはOHしたから問題ないと思うのだが。という思い込みが良くないんだと気づくまでには少々時間を要した。もう一度、キャリパを分解整備するという愚行に出てしまった。冷静に考えると、全く必要のない作業をしていたのである。おかげで、ブレーキフルードのためキャリパーの真新しい塗装がはげてくるし、余計な仕事をしてみすみす美観を損ねてしまった。で、もう一度バイクに取り付け試走。おや?引きずっていないではないか!近所を走ると、好調好調、と喜ぶのもつかの間、直ぐにディスクが鳴き出した。自宅に帰ると、あら固着。う~ん。

実験①キャリパのシャフトボルトを緩め、ブレーキを握り、更にシャフトボルトを締め付ける。するとブレーキレバーが握れないくらいカチカチになっている。おや?これって、本来ならブレーキフルードがリザーバータンクに戻らないといけないのに、ひょっとして戻っていない?ということはリザーバータンクのなかはどんな感じ?ということでキャップを緩めると、なんやら、ぷシューなんて音がしてブレーキタッチが少し戻った。この現象何なの?タンク内が加圧されていたということ?ということは空間が圧縮されていたわけだから、フルード液面が上昇していないとおかしなわけで。考えれば考えるほど意味不明。

実験②マスターのバンジョーボルトを緩めるとフルードがあふれてきた。それでホイールは?あら固着がなくなっている。

これで、私はマスターが犯人だろうと確信したと同時に、キャリパさんをてっきり悪者だと思い込んでいた自分に嫌気がさしたのです。

自分で修理したてのキャリパと、先だって修理したマスター、どっちが悪いの?ということだが、先だって修理した方は、それはそれでしばらく普通に機能していたのだからそりゃ信頼してしまうわな。でも、どうも修理の仕方が悪かったのか?

いずれにせよ、マスターを分解する。で、内部の構造を改めて勉強する。

Z750F(D1) 用の5/8マスター
Z750F(D1) 用の5/8マスター
Z2サービスマニュアルに・・・
Z2サービスマニュアルに・・・

マニュアルのP.62のみ何故かD1のマスターが写っている。だから、私はZ1のマスターってこれが純正のバリエーションの一つなのかも?って思っていたのです。でも、他のページはいわゆる金属製マスターの写真。ここだけ後年に更新したのでしょうか?良く見たら、右スイッチのスターターボタンの表記が私のZ1とマニュアルとでは違いますね~。いろんなバージョンがありますな~。

マスターシリンダの構造

Z1マスターの構造
Z1マスターの構造

明治産業(株)seikenブレーキ講座 から引用しました。

いわゆるコンベンショナルタイプのブレーキマスターシリンダーの構造です。Z1のマスターもこの部類に相当しますね。

バルブ、というのはチェックバルブのことで、制動時にはブレーキフルードを流出させますが、解除時にはチェックバルブがフタのようになりますので、右側に押し戻すように動きます。

Z1のマスタータンク側から見れば穴が二つ開いていますので、図の構造の通りですが、私のZ1Aに装着されているのはD1の5/8インチ。もともとダブルディスクで売りに出されていたバイクだった名残です。こういうことも購入してからしばらくしてからわかったことなんです。Z1のサービスマニュアルにはこのD1のマスタが写真で掲載されているのですよ。だからしばらくこれがZ1純正だと思い込んでいました。D1の穴ひとつの場合はバイパスポートがないんでしょうか?

制動中
制動中

制動中はプライマリーカップが左側に移動するため、リザーバータンクとシリンダ内の流路が完全に断たれ、ブレーキレバーの押し込みに応じてブレーキ圧が発生する仕組みです。

解除中
解除中

ブレーキレバーの握りを弱めると(解除すると)、チェックバルブがフタになって右側に押し戻されます。またバネの圧力に応じてプライマリーカップも右側に押し戻されます。その際、ピストンの穴からプライマリーカップの頭にフルードが流れ込み、ブレーキ圧が弱められるとチェックバルブはまた左側に戻る、という動きをします。

原因究明

私のD1マスターは、どんなんになっていたのでしょうかね?

分解してみると、普通に内部の部品が出てきました。特に損傷もなく。

OH前の部品と比較すると、異なるのはチェックバルブの逃げ溝の寸法がほんのちょっとだけ違う(リプレース品だからか?)のと、スプリングの自由長が3mmほど長い。OH前のスプリングがへたっているだけかな?

ピストンが戻りきるのは、シリンダ内でサークリップで位置決めされている止め環までであり、その位置でもスプリングは圧縮状態なので、このスプリング自由長が今回の引きずりの原因になったとは思いにくい。実際に、引きずりのときもブレーキレバーは最後まで戻ったのだから。

とすれば、何が原因か?よくわからないが、そもそもOHしたのは、永年の眠りから目を覚ますときにブレーキを握ったら戻らなくなってしまった、ということに端を発している。その際は、OHキットでマスター内部を取り換え、その後良好だったのだが、やはり何かマスター内部でひっかかりがあるのか?ちょっと待てよ。ひょっとして、インレットポートが詰まっているかも???詰まっていなければ、キャリパピストンの動きに押し戻されてきたフルードは、リザーバーに戻るはずだから、実験①のようにブレーキレバーがカチカチになるってことはないはず。でも現実にポート穴をシリンダ側から見ると、直径3mmくらいあるし、そんな穴をふさぐようなゴミはさすがに入らないだろう。とすれば、プライマリーカップもしくはピストンがポートを閉塞させている・・・。眠りから覚ますときの固着の傷跡がまだのこっていて、じつはこのどちらから戻りきっていない・・・。でもブレーキレバーが最後まで押し戻されるということはピストンが戻りきっているということだから、スプリングの圧縮圧を受けてピストンに伝えているプライマリーカップは戻りきっているはず。あら、そうするとどんな仮説も成立しないじゃないの!

でも、くよくよ考えても仕方がない。ともかくシリンダー内部のゴミを徹底的に掃除し、ちょっとした錆?らしきものと汚れを除去するために、大マイナスドライバー(これドライバーというよりも一つの治具として重宝する工具)とウェスとピカールにて、しこしこと磨くことに。そして綺麗に掃除し、組み上げ、さあ、ど~だ~!

一応、リザーバータンクとシリンダーの流路にさんざんエアをふかしたが、ゴミらしきものは出てこない。ということは、少なくともそのポートにゴミが詰まっていたということではなさそう。

リザーバータンクからのポートは一つしか見当たらない。あ、写真には写ってないな~。内部はピカピカに磨いた。でもちょっとだけゴミなのか取れなかったけど、まあいいだろう(いい加減かな)。

 

組み上げるときに、気づいたのは、サークリップを取り付けるときに、私が持っているサークリッププライヤの寸法上、大変作業がしにくく、最後はサークリップをマイナスドライバーでカチッと押し込んでやる必要があった。でも、取り外すときには簡単に外せたぞ!

思い出すと、最初OHした時はサークリップ外すのに難儀したなあ。ということは、最初OHした時に組み込んだサークリップが実は最後まではまりきっていなかった?だから今回分解するときは簡単に取れたのかも。ということは、ピストンがレバー側に余計に移動することができた状態になっていたのか?ならば、本来ブレーキレバー解放位置でポートを閉塞させることのないピストンもしくはプライマリカップが、ピストンの位置がずれた為に閉塞させてしまっていたのかも。

 

組み上げ、おそるおそるレバーを戻し、前輪を動かすと・・・いい感じ!

早速試走。この前、ぬかよろこびしたので、今回は慎重に何回もブレーキテストを近所でする。お~、い~じゃん!ちょっと引きずっている気がしないこともないが、いわゆる鳴き音は解消した。ブレーキ解放した直後に少しかすれるくらいに鳴いているかんじかな?家にもどり、前輪を持ち上げて回転させると、すこしバッドが当たっているような感じではあるが、引きずりとまではいかない感じ。これ車検とおるんかいな?

まあ最悪予備のマスターで通すか。と、いい加減だが、一応直ったのかな~。マスタの内部を掃除したのが効果的だったのだと思います。ピカールは偉大ということか。ひとまず良かった。

結論と教訓

<結論>

推定①マスターシリンダーとリザーバータンクの流路がゴミにより閉塞したため・・・可能性△

推定②サークリップが溝にはまり切っていなかったため、ピストン停止位置がずれ、流路を閉塞させてしまったため・・・可能性○

 

②が◎かどうか、もう一回分解して各部寸法を測定すれば検証可能だが、もう面倒なので次回分解するときに持ち越し(問題先送り!)

 

 

<教訓>

・OHしたところは原因ではないと思い込まないこと。

 (今回、キャリパーは全く問題なし。先にOHしたマスターが不具合発信源だった。)

・OHするときには、しっかり各部を洗浄し、磨くこと。

 (前回マスターシリンダをOHした時には、内部部品を新品取り換えしただけだった。ついでにシリンダ内面を綺麗にしておけばよかった。)

 

ということで、もう固着しないかな~。不安。

 これはZ2のノーマルマスターシリンダの断面図です。私のZ1についているD1のマスターには⑮のリリーフポートがなさそうです。上記では、⑱を閉塞させてしまったのが固着の原因だ、と結論付けてしまいましたが、実は納得ができていない。D1マスターの各部寸法を測定してみたら、当然ながらこの⑱ポートを塞ぐような位置にはピストンは来ない。穴はΦ2mmくらいなので、よほどのフンづまりでもなければ詰まることもあるまい。はてさて、なんじゃらほい。

 

 2009/07/04

 一応、直ったらしいZ1で改めて試走してみる。固着はしていないが、ちょっと引きずっている気がしないでもない。そのうち、ちょっとブレーキ掛けただけで鳴き出すようになってしまった。う~ん、わけ分からん。

 実は、気になっていることが一つあった。それは、このたびの修理ではPMCのリペアキットを購入したのだが、元々D1マスターに入っていたパーツと見比べると、若干の相違点があったことだ。これが実はキモだったりする。

 

上側 ・・・ PMCリペアキット(3/8)

下側 ・・・ 純正?(3/8) 元々ついていたやつ

 

 相違点は二つ。

①リペアキットのバネが長い。②リペアキットのチェックバルブの逃げ溝の加工が甘い。他の部品についてはリペアキットと純正?とで違いがなかった。さて、この相違点がブレーキ引きずりの原因になるのか?私はよくわからなかったので、とりあえずリペアキットを使ってきた。しか~し、症状が緩和されはするものの完治しないので、本日は理科の実験をすることにしました。対照実験です。一つ一つ部品を交換して症状を確認します。バネを変えるか、チェックバルブを変えるか、まずどちらにするか?できれば手間は省きたいので、理屈上考えやすい方から実験したい。つまり、仮説を立てるということ。私の立てた仮説は以下の通り。

 

仮設1. バネの自由長が短いのはD1用が実は短いのが正当だから。長い方のバネに押さえこまれたチェックバルブはブレーキ解除時、キャリパ内ブレーキフルード圧力より押し戻される際に、バネ圧に抗しきれずブレーキホース内フルードを閉塞させてしまう。

 

しかし、このリペアパーツはD1も対象車両になっていた。つまり、下側のバネが短いのは単にバネがへたっているだけだと思われる。よってこの仮説は偽だろう。

 

仮設2. リペアキットのチェックバルブの逃げ溝が逃げ溝の機能を果たし切れていない。圧が高い時はこの逃げ溝で十分であるが、圧が低い時には圧を十分に逃がすことができなくなっていた。

 ここからブレーキフルードがびみょーに漏れていた。増し締めしたらよいのだが、片口スパナではなめてしまうこと受けあいのナット。そこで、メガネレンチの一部をグラインダーで削り落し、パイプがすり抜けられるようにしてこのようにセットし、トルクを加える。さすがにメガネ部分がたわんだが、なんとかトルクをかけることができた。この工具、改めて焼き入れしといた方が良さそう。

この間・・・少々時が流れ・・・

 

シングルディスク用の1/2マスターを使ってみたら、それなりにブレーキは利き、引きずり症状も全くない。嫌なのは、初動でレバーの握りシロがあまりに大きくなる点。マスターシリンダーの直径が小さい分、ストロークで稼いでいるので仕方がない。ちょっとしたこつ、つまり最初少し握り、リリースしながらすぐに二回目を強く握るというようなことをすると、5/8マスターのようなタッチになるのだが、ストレスフルなブレーキなので面白くない。

 

でもD1マスターを再び使うために、あれやこれやと考えるのも面倒だ。ひょっとしてリリースポートがふさがっているのかも、と思い洗浄剤で煮てみて、徹底的に掃除したが、やはりD1マスターにはリリースポートはついていないようだ。ん~、わからん。

 

ということで、別のマスター物色に。

どうせなら、いいやつを付けよう、ということで。結局ヤフオクでRC30のマスターのいい品物が出ていたので、それを活用することに。D1用マスターの修理に必要なOHキットは、W3の5/8マスター修理に転用することにしました。これでD1マスターは当面お蔵入りです。

RC30のマスターは格好良くていいです。レバーの調整方法が、他のほとんどのバイクと違って無段階調整可能です。